Googleが提供する無料のGoogle Colaboratory(グーグルコラボラトリー)について、法人が利用する場合の注意点について解説します。
Google Colaboratory(グーグルコラボラトリー)は、ブラウザから機械学習・深層学習の環境を直接整えられる無料サービス。高速での並列処理や学習時間の短縮に必要なGPUを無料で利用できます。
Google Colaboratoryは「機械学習・AIアプリ開発の普及、および学生を含むエンジニアの育成を目的」としていることから、無料でのサービス提供を行っているのではないかと言われています。高性能なPC、物理的なGPUがなくても、手軽にAIアプリ開発等を始めることができます。
一見するとメリットが多いように聞こえるGoogle Colaboratoryですが、法人が利用するにはいくつか気を付けなければならないポイントがあります。
Google Colaboratoryは、12時間以上連続で使用することができません。たとえプログラムを実行中であっても強制的にセッションが中断されてしまうため、計算に12時間以上かかる場合は注意が必要です。
GoogleはGoogle Colaboratoryのリソースの上限を公開していません。当然のことながら、GPUもメモリVMも無料ではなく有料版が優先的に割り当てられるため、「必ず使える」という保証はないのです。リソースの制限を緩和したいのであれば、有料プランを購入しましょう。
Google Colaboratoryは仮想環境からローカル環境へのアクセス権限が付与できるため、情報漏洩など様々なリスクをはらんでいます。プライバシーの観点からも、個人情報を取り扱う企業は十分な配慮が必要となります。企業によってはGoogle Colaboratoryの使用を禁止している所もあるほどなので、法人利用の場合は十分に注意しましょう。
Googleは過去に100を超えるサービスを停止しており、Google Colaboratoryも急にサービスが停止となる可能性はあります。実際、世界的に話題になった画像生成AI「StableDiffusion」も、2023年4月にGoogle Colaboratory内で利用できない仕様に変更となりました。GPUが使えない、ネットワーク遅延、ディスクへの読み書きエラーなど、Google Colaboratoryの不具合を報告する声もゼロではないため、法人で利用する場合はサービスの変更や中断、終了も大きなリスクを踏まえて検討する必要があります。
コストを考えるとGoogle Colaboratoryが魅力的に思えますが、大規模なデータを管理する法人の場合だと懸念すべきことが多くあまりお勧めできません。法人向けに展開されているGPUを探すなら、ニーズに応じてスケールアップ・ダウンが容易で最新モデルを利用しやすい「クラウドGPU」が便利でしょう。
「クラウド」というとセキュリティ面で懸念されがちですが、ビジネスでのセキュリティ要件を満たし、ユーザーサポートに力を入れている会社も増えてきています。一度、クラウドGPUの強みを知ったうえで、サービスの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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